『平成30年度診療報酬改正』というマニアックな話題を、患者側に落とし込む試み
今年度は診療報酬(平たく言うと医療費)の改定期にあたります。
昨日はその改正点の説明を受けるため、外出先での勤務となりました。
注目したところを記事にしてみました
改定箇所はかなり多いですが、職員としてじゃなく、個人的なユーザー(医療を受ける側)視点です。(※守秘義務範囲ではなく、既に適用済みの内容なので、安心してください)
「小児」の範囲が拡大されました。
そのひとつとして、発達障害など、児童思春期の精神疾患に対応する診療の機会を確保する目的での改定がされました。
発達障害の子どもが精神科のクリニックに通い続けても、
「中学3年生のタイミングでクリニックを卒業させられてしまった」
と悩むお母さんの書き込みなどがネットで見られます。
これは、『小児特定疾患カウンセリング料』という項目が、15歳未満の心理的発達の障害等の患者にしか適用できず、さらにこの項目を医療費として請求できるのが『小児科』のみだったことが原因でした。
今年度からは小児科の他に『心療内科』でも請求ができるようになり、対象年齢も18歳未満に引き上げられました。
相変わらずそれを超えてしまったら『小児』は卒業なので、小児科の患者として通っている場合はいずれにしろ転院を考えなければいけません。
それでも15歳と18歳ではかなりショックは違うと思います。
これまでと違い、18歳までにゆるやかに大人も受診できる心療内科を捜すことができます。
その後の行先として、青年期の自閉症スペクトラム患者などの受ける精神科ケア(そのうち、精神科ショート・ケアというメニュー)にも『疾患別等専門プログラム加算』という評価項目ができました。
一定期間計画的に専門的なケアを予定することで加算される医療費です。
ってか、今まで算定してなかったんかい、と思いますが・・・。
精神疾患の治療=即投薬、にならないように
これまでは『精神保健指定医』のリストに名前が載っている医師だけ医療費を高く請求できたので、それ以外の医師や看護師が対応しても儲からないから認知行動療法なんてやりませーん、となっていたのですが、この指定医の評価を廃止し、専任として習熟要件を満たしている医師なら請求できる点数を引き上げました。
これで促進できればいいですが、薬の方がまだ利益率が高けりゃ移行しないんじゃないかなあとも心配されますがね。
その他にも、長期間看護師のケアが必要な子どもについて、地域・学校や福祉関係の職員と連携する仕組みの整備もされました。喀痰吸引が必要な子などがあてはまります。
オンライン診療について
少し前から話題になっていたので知っている方も多いと思いますが、継続的な通院が必要な患者が、オンラインのシステム(スカイプやZoomのような機能)を使って再診をすることができるようになりました。
もちろん継続的な通院が必要な病気が対象なので、
「うちの子風邪ひいたかもしれない」
みたいなものはダメです。
ゆるやかに経過を看ていく特定の病気だとか生活習慣病、あとはやはり精神疾患あたりが対象です。
うちの長男みたいに病院に出かけることも嫌がる人は対象になれるかもしれません。(あくまで予想)
とはいえ、初診は行かなければならないし、ずーっとオンラインというわけにはいかず、最初の半年は月1回通院が必要で、その後も3ヶ月に1回は顔を出さなければなりません。
まあ仕方ないけれど、無理かな。(笑)
抗生剤の使いどころを手紙で教えてくれるようになりました
ここまでの話とは違いますが、最近はよくネットでも見かけるようになった
「風邪とか胃腸炎は対処療法で様子見るしかないですよ」
ということについて。
医療費適正化を促進するため、小児科でこれを文書で保護者にお知らせすると『小児抗菌薬適正使用支援加算』として80点(=800円相当)請求できるようになりました。
いやまあ、健保の職員としては、教えてあげたほうがいい相手もいるとは思うけど、
知ってます
っていう親にも加算されるんでしょうか?これ。
だって、否応なく紙よこされたら800円なんでしょ?
いやあ、大きなお世話的なやつです。
それこそ、完全に無駄な800円の8割(=640円)を健保負担にするのやめてほしい・・・。
ちなみに残りの160円は、うちの自治体の場合は公費です。
明らかに対処療法っぽい症状の時は、胸に
「抗菌薬適正使用について既知です」
って付箋でも貼って通院しようかな。
あ、健保でこれ配付すればいいのか?
ジェネリック医薬品使いますカードみたいに。
以上、なんだかマニアックな話でスミマセン。
今後のお子さんの通院などで、この記事の内容が少しでも参考になればうれしいです。