親が子どもへの過保護がすぎるのは本人の心の問題ではなく社会が過保護を要求するから
先週は保育園の保護者会ウィークでした。
月曜日が次男、そして木曜日が末っ子でした。
しばらく園での子どもの様子や、年齢ごとの生活指導についてお話を聞いていましたが、会の最後に『事務局からのお願い』というお手紙をいただき、その内容にビックリ。
ご自宅や登園途中に顔や頭部を打つ等の怪我をされた場合は、必ず受診してお医者さんの許可を得てから登園してください
ひいき目に見ても、やりすぎ感満載
確かに他の箇所に比べたら顔や頭部の怪我は重症化リスクが高いです。
頭部は言わずもがなですが、口の中の怪我も場合によっては細菌感染や歯の神経に影響が出る場合もゼロではありません。
確かに親の素人判断でそのリスクを見立てるのは難しいかもしれません。
でも小さい子どもが転んでくちびるを切るだとか、ローテーブルに頭をゴチンとぶつけてたんこぶができるだとかは日常茶飯事で、高いところから落ちた、自転車で転んだ、というような怪我と同等に「顔や頭部の怪我」とひとまとめにしなければいけないこととは到底思えません。
そのあたりを一応確認として質問してみましたが、担任の先生は予想通り
「それでも心配なので受診をお願いします」
と返答されました。
『事務局からの』お願いである時点で、園長先生の意志でさえないので、担任の先生はこう答えるしかないですよね。
これはつまり、子どもがくちびる切ったりたんこぶつくるたびに、受診のために親の業務時間を削ることになります。
怪我の度合いによっては業務時間なんかと天秤にかけてる場合じゃないのできちんと受診しますが、男の子がたんこぶつくるたびにこれをやっていたら、いくら時間があっても足りません。
診療時間前に登園するのでは、受診したフリもできませんしね。
そういう怪我のリスクをゼロに近くするために親がどうするか?
なるべく転ばない、頭を打たないような、「転ばぬ先の杖」を子どもに与えてしまうことになります。小さい子どもはできるだけ親の自転車やベビーカーで移動したくなるし、家の中でもあらゆる手段で危ないものを排除します。
赤ちゃんにはある程度必要なことなんですが、もうしっかり外歩きができる年齢になったら、体力づくりと転び方を覚えるために、ある程度は転ぶことを想定して歩いたほうがいいのです。
この『お願い』は、それを子どもたちから取り上げる可能性のある一文だと思い、なんだかガッカリしました。
園で預かる間は園側がその措置をするとのことなので、そういった部分の成長の責任も含めて園が余計に背負うような感じにもなってしまい、ますます現場の保育士さんの負担が増えることにもなります。
健保組合の立場からも、あまりいい傾向とは言えません。
高額な医療費となる高齢者医療費に比べて目立ちませんが、乳幼児医療費の増加は、医療保険の分野でも問題となっています。
実際、『月刊 健康保険』という月刊誌の4月号にも、ちょうど乳幼児医療費の問題についての記事が掲載されていました。
記事の情報では、3年に一度厚生労働省によって実施される『患者調査』で、0~14歳の患者数が2002年の63万5千人から2014年には73万8千人に増えているとのことです。また同14年の外来受療率(人口10万人あたりの推計外来患者数)が、0歳と1~4歳でそれぞれ7千人を超えていて、これは65~69歳に迫る数字だそうです。
患者調査についてはこちら。
特徴は、これらがほとんど軽症であること。
つまり、医療費自体はかかっていないけれど、小児科医のリソースが軽症患者に多く使われてしまうことが問題になります。
ところが、業界専門誌の記事に向かって申し訳ないのですが、この原因について
ただし、一概に子どもを受診させる親を責めるのは筋違いだろう。
と擁護してくれるところまではいいけれど、
「核家族化やネット情報の氾濫などによって、一人で不安を背負い込む母親は多い。誰にも相談できず、軽症と思われる発熱、鼻水、嘔吐、下痢、打撲などでも、不安を解消するために受診を選ばざるを得ないのが現状」と、都内の診療所に勤務する小児科医の橋本直也氏は話す。
いやあ、惜しいなあー。
すごくそういう視点は暖かいしありがたいけれど、
「学校や保育園から行けって言われてるんですよ」
っていうのは、わからないわけがないので、言えないんだろうなあ。
保育園や学校もただ心配だから行けって言ってるのではない
当然それが第一だと信じたいですが。
怪我の話ではなく流行の感染症についての件ですが、自治体によっては国立感染症研究所感染症疫学センターが立ち上げた学校欠席者情報収集システムや保育園サーベイランスと呼ばれる感染症早期探知システムの導入が各自治体で導入が進んでいます。
これ自体は、国内の感染症の流行についていち早く察知し情報提供することに大きく役立っています。
保育園や幼稚園、学校に通う子供の保護者は、子どもが病気で通院したとき、園や学校にその診断名を正確に伝えることによって、より正確な分析が可能になります。
公衆衛生の面からも、大変重要なことだとはわかるのですが、
「情報収集が目的化して、軽症の初期症状のうちに即受診して診断名を聞かれる」
という本末転倒な事態にもなっています。
日本人、まじめすぎるんですね。
しばらく様子見て、みたなのができない。
子どもの病気には、数日たたないとなんだか判断つかない診断名がいくつもあります。
突発性発疹などはいい例です。急に高熱出してなんだなんだと言っていて熱が引いたら発疹が出ます。この時点でやっと
「突発性発疹でしたねー、重症じゃなくてよかったですねー」
という診断がされるのです。
特に、既に流行中の感染症がある場合以外、初期症状のうちは風邪と判断される症状がほとんど、とも聞いたことがあります。
なので、病気の子ども本人は苦しくてかわいそうだけど、一両日中はよほど眠れないくらい苦しんでなければ安静にしてみて、なかなか改善しなかったら受診くらいでいいんじゃないかな?と思ったりします。
橋本氏は「小児科オンライン」サービスを開始した方です。
おそらくその部分を改善しようと、上記記事の橋本医師が開発されたシステムが、「小児科オンライン」です。
小児科オンラインとは・・・
以前、保育園からチラシをいただきました。
医療系だし新しいもの好きなので興味はとてもありましたが、お金もかかるし維持するの無理かな、と思っていたのですが、こういうご時世になってきたことを考えると、
『個人会員は月額3,980円で無制限利用』
というのは、妙な欠勤や遅刻で月給引かれるくらいなら、もしかしたら高い維持費じゃないのかも、と思ってきました。
でも実際は個人契約率0.1%以下らしいです。あとは法人会員。
健保組合や企業の福利厚生として契約している例がほとんどだそうです。
ま、うちは(以下略)
もう少し悩もう~。