人類ゾンビ化計画?デパートの配置がわかりづらいのは「グルーエン・トランスファー」で説明がつく
先日の記事です。
☆デパートの子供服売り場がわかりづらい
☆レストラン街も「迷路」と定評
☆高齢者が店員さん捕まえて場所を聞くには問題ないらしく、売り上げは伸びてる百貨店業界
記事では
「若者のためにリニューアルしないなんて、なんて怠慢な業界」
という主旨でお送りしましたが、もしかしたら思い違いかもしれないというワードに出会いました。
「依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実(デイミアン・トンプソン 著)」
『ショッピングモールは人を「ゾンビ」にする?』
映画『ゾンビ』がペンシルベニアにあるモンローヴィル・モールという巨大ショッピングモールを舞台にされたことが、ジョージ・A・ロメロ監督によるコンシューマー・キャピタリズム(顧客資本主義)を風刺したものだと書かれています。
そして紹介されていたのが、「グルーエン・トランスファー(移送効果)」でした。
ある説明によると、「グルーエン移送効果の影響下にある人の典型的な兆候は、ぽかんと開いた口、ややとろんとした目、霧がかかったようにぼんやりとした感覚である。この独特の精神状態に陥ると、多くの人は歩みが遅くなる」という。
まさにゾンビの動きじゃないですか、これ。
『ゾンビ』の映画そのものは見たことがないのですが、あれって群集の風刺もされている作品だったんですね!怖いけどちょっと見たくなりました。
「グルーエン・トランスファー」とは
- 消費者は「混乱」をすると、自律性を失い衝動買いをしやすくなる
- 建物内が「混乱」に満ちているほど、消費者の衝動買いが増える
と解釈されています。
この「グルーエン・トランスファー」は、欧米で巨大ショッピングセンターの設計を多数行なった、オーストリア出身の建築家、ビクター・グルーエン(Victor Gruen 、1903年-1980年)の名前に由来する言葉です。
グルーエン・トランスファーの事例
- 吹き抜けなどの配置で遠くからでも他の店の看板が見えるようにする
- 「セール中」「限定品」などのPOPを多用する
- 店舗内のレイアウトや導線を複雑にする
- 店内BGMをアップテンポの曲にする
などが挙げられるそうです。
ショッピングモールに限らず、この事例でドン・キホーテやヴィレッジヴァンガードの店づくりがすぐ想像できた方もいるのではないでしょうか?
例えばドン・キホーテの店舗内は「圧縮陳列」と呼ばれる陳列方法を採用しています。
隙間なく商品を並べた迷路のような構造になっていて、買い物客に目当てのものを探し出させる宝探し的な要素をもたせているそうです。
RPGのゲームをプレイ経験のある方ならわかると思いますが、地下迷路で目当ての宝箱を捜す前に別の宝箱を開けまくって持ち物がいっぱいです、ってことがありませんでしたか?(笑)まさにそんな感じです。
さすがにデパートが派手なPOPやあまり品のないBGMまで使ったら店の雰囲気を壊しますが、最低限として吹き抜けで一見おしゃれ感を出してみたり、わざと導線を複雑にして、その効果で衝動買いを増やすくらいはしてると考えられますよね。
私が前回の記事を書いた後、共感のお返事もいただきました。
食べログ等の評価も含めると、
「目的を達成するためにお店に行くのであって、宝探しに行くのではない」
という人は一定数いることはわかります。
でもそれってもしかしたら「宝探しを楽しめない」マイノリティなのかしら?
まあ、その結果損をしないメリットがあるので、気にしないことにします。
依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実 [ ダミアン・トンプソン ]
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