病院に行きたければ東京へどうぞ?!:発達障害からみた地域格差
前回がこちら。
☆国(文科省)は、基本的には教育関連予算を各都道府県均一に配分している
☆しかし、末端におりると不思議な力が働き、お金のかけ方がバラバラになる
☆なので、自治体によって特別支援教育への熱意もお金のかけ方も違ってしまう
さて、今回は医療という視点から見てみます。
医療機関の数がまるっきり違う
国もそれはわかっちゃいるけれど
厚生労働省発表の調査でも明らかになっていますが、
平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/16/index.html
こちらは人口10万人に対しての医師数等を比較したグラフです。
精神科医に限定はされていませんが、医師の数が各都道府県でかなりのばらつきがあることがわかります。
これに伴って、医療機関自体も同じようなばらつきがあります。
これを見てへぇーと思うのが、別に首都圏集中というわけでもなく、地方でもかなり高い数字になっているのがわかります。逆に東京周辺の地区が「東京頼み」になっている現状があります。
実際、長男のときの妊娠中、市の母親教室に参加しましたが、小児科の先生が
「市内の病院で長時間子どもを待たせるくらいなら、さっさと都内の病院にかかった方がいいときもあります。乳幼児医療費は後日償還払いされますし」
と、フツーに話してたのを、愕然として聞いていた記憶が残ってます。
通常の小児科でさえこの調子なので、子供の発達障害などを診療する児童精神科についてはお察し、です。
「病気」じゃないから、とはいうものの
激しい癇癪などの困った行動、不登校やひきこもりといった子どもの言動を全て病院に繋げることが正しいとは思えません。
ましてや、低年齢の子に対して向精神薬を親の権限で簡単に投与してしまう問題は深く考えなくてはいけないと思います。
けれど、病院行くor行かない、さらにどの医師と相性がいいか、などの選択肢は多いほうがいいと思うのです。
親子共に疲弊してるのに「行ける病院がないから」受診しない。
やっとの思いで繋がった病院の主治医がものすごく短時間の問診で 「そうですか、じゃあ薬出しときますね」 というような診察をして一瞬疑問に思ったけれど「他に行ける病院がないから」この診断に納得するしかない。
そんな決断は自分で決めたようで実は「環境に決めさせられた」だけなので、実はそれだけでストレスがとてもたまるし、結果が望ましい方向にいかなければさらにそのストレスが悪化して、子どもの方に矛先が向きやすくなってしまいます。
精神科医がみんな「投薬命」のように言われることもありますが、児童精神科の先生の中にも当然ながら本人のカウンセリングを主体に診療を続けてくれる方もいます。
長男の主治医の先生は、旦那が
「担任の先生が投薬を勧めてきた、自分ももう我慢できないから処方してくれ」
と頼んだら
「本人が何も希望してないのに、それは大人のエゴだ」
と一喝してました。
私が市の健診のときに相談をしたとき、県内の数少ない児童精神科を持つ総合病院の先生がいらっしゃっていました。
その先生がたまたま都内(しかも移動範囲としてはかなり近場)の結構有名な診療所の非常勤医をされていたという偶然に巡り合い、たまたまその診療所の予約日の激戦に勝ち、その先生が主治医になってくれて、たまたまその先生がカウンセリング重視の先生でした。
これでも水面下ではネットで下調べもしてますが、本当に「たまたま」の列挙でもあります。
一発で辿れる道筋を見つけることは難しいし、これも選択肢がある程度あったからつけられた道筋だと思うのです。
居住圏でこれができない人は、身動きが取れずに閉じこもるか、闇雲にネット情報に踊らされる結果になるのも当然だと思います。